短歌1

ChildLike13掲載
テーマ?はBL短歌だった気がする

■シーン1
セロファンかざしたみたいな夕雲切りとるきみに どぼんと落ちる
起動したカメラロールで泣く赤子 寝袋数ミリ 果てのない地平
言い訳がなくて伸ばせぬ右腕を不意につかめり 雲の晴れてふ
目合ひあうことのなき月と地球寄り合う今宵はスーパームーン
残月を肴にするかと呵々笑う あなたはぼくの有明の月

■シーン2
「ある日ボールを蹴るのをやめて僕を蹴ることにした兄のお話」
血管を舐めろと言われ七五三 透き通る筋をたどりました
ぼくを蹴る恍惚の顔の稜線に見惚れるまた蹴る足に接吻
ボールのかわりに蹴るぼくがいなくなるので可哀想なのでひとりは
小さな喪主が大きくなって棺に入る ぜんぶぼくのです

■自由詠
手折られて尚陽を求め芽吹く枝 理科室の硫酸を注いだ
風上に咲く花の香のいみじくて 踵(きびす)返せど夏つきまとふ
岩石の苔より新芽の生うるあり 抱かれてかたく 泣けよ生きろよ
脈打って、拍取って、また、脈打って、好きで、好き、あと、愛してる、好き。
切り立った言葉の崖を登りきりみはるかす空きみとつながる